先週とある大学で修士課程の学生相手に簡単な統計関連の授業を行った。
普段統計にあまり触れることのない文系の学生対象だったので反応はイマイチ。でもまぁ、学校や授業の雰囲気は楽しいと感じる。
GISはマップ作りのみに活用している。集落毎の距離を算出して回帰分析に独立変数として取り入れたことも以前はあったけれど、距離が必ずしもアクセスし易さと一致しないことからあまりウェートを置いていない。意味が無い訳では決してないんだけど、計算に労力を使う位なら他にやるべきことは沢山ある。モデルもよりフィットする訳ではないし。
グアテマラの場合今までは国連関係や農牧食糧省から購入したシェイプ・ファイルを使ってきたけど、これらのデータの難点は市レベルまでしかないこと。センサスには集落レベルまで考慮されているのでデータはあるかもとは思っていたけど、最後に調査されたのが2002年なので当時のGPSの普及状況を考えれば位置情報を取っていなくても不思議ではなく、はっきりしないまま市レベルのデータ(境界線)を使ってきた。
久方振りにGISを使うこととなったのでネット検索してみたらSEGEPLANがデータを持っていた。
早速ダウンロードして試してみた。最近GISはArcViewではなく、オープンソースのQGISを使っている。パソコンへのインストールの制限もないのでどこでも使えるから。使途も限られているのでこれで十分。
カンテルで見た場合、場所はあっている。Google Earthに読み込んでみた。
カンテルと検索して矢印が出るのはカンテルの象徴とも言える繊維工場、ファブリカがある場所。クリックした所はチリフキアック(Chirijquiac)集落。Quiacはキチェ語でk’iyaq、ノミという意味。Chirijが後ろという意味なので「ノミの後ろ」という意味。この名前はある伝説に由来して近辺にはチョキアック、ショルキアックというノミとの位置関係に由来した名前の集落が他に2つある。
今回、新たにシェイプ・ファイルを入手出来たことに加えてSEGEPLANは2002年センサスのアグレゲート・データも作成していたので、これを機会にデータの加工もこれまでのStataではなくRでやろうと思う。速度的にはSTATAの方が断然優れているけれど一つの環境で全ての作業が出来るメリットは大きいし、何よりRは大抵のパソコンに入れることが出来る。
現在、国立統計院によるセンサスのパイロット・スタディが行われているそう。
2002年のセンサスを使ってこの四市の先住民比率を見てみた。
1316がウエウエテナンゴ県サン・フアン・アティタン市
1605がアルタベラパス県タマウ市
1908がサカパ県サン・ディエゴ市。
サン・フアン・アティタン市の先住民率がサン・アンドレス・シェクル市並に高い。タマウ市も大半が先住民。サン・マテオ市が半々、サン・ディエゴ市には殆ど先住民が住んでいない。その観点から今回のスタディの市を選んだのかもしれない。
最初の三市の先住民族の割合がこちら。
タマウ市ではポコムチ族が71%、ケクチ族が26%近くを占めているけどこの2つの族が別々の村に住んでいるのかどうかはここからは分からない。
パイロット・スタディに出来れば参加したかったなぁ。
昨日の続き。
サン・アンドレス・シェクル市の人口における先住民の割合が高いのは分かったけど、そもそもトトニカパン県内の他市はどうなのか。トトニカパン自体が先住民が多いという印象が元々ある。
調べてみた。
他の市も総じて高いことが分かる。中にはサン・アンドレスより高い所も。
0801からそれぞれ
となっている。これだけ先住民の割合が高い県なのに聖人の名を冠した市が8市中6市。カトリックの影響は強い。
トトニカパン県全体の民族別の割合はこうなっている。
キチェ族以外の先住民、特にマム族、カクチケル族やケクチ族もいるけれど、割合としてはごく僅か。やっぱり、経済的な意味合いからもわざわざトトニカパン県に移ろうという人は少ないんだろうと思う。