ポポル・ヴフについて書かれたとある本ではフナフプとイシュバランケを双子の兄妹として言及している。「イシュ」が女性を表すからとのこと。まぁ,イシュムカネ,イシュキックやイシュバキヤロは皆女性だけど。
ただ,この言葉は別に女性だけを意味するわけではない。
で本題。イシュバランケは男。これには根拠もあってヒメネスの写本の該当ページがこちら。
(OSU)
このページのこの箇所。
最後に”cumal qaholab”とあるけれどこれは現在のスペルでは”kumal k’ajolab'”となる。これは「彼らによって」という意味。つまりヴクブ・カキッシュが彼等によって殺されたということ。
でこの彼等,つまり双子の兄弟を指すのが”k’ajolab'”だけど,この単数形は”k’ajol”でこの単語は男の息子(この箇所の場合,フン・フナフプの息子)の意味。複数形でk’ajolab’。この単語が使われている時点でイシュバランケが女性で可能性は無い。
キチェ語が分かり,テキストをしっかり読んでいればこんな間違いは起こり得ない。まぁ,グアテマラでも勘違いしている人は多いけど。
ただ,この書籍の一番の問題点はこの誤解そのものではなく,そこで述べられている説が他人(著者の友人)であると基本的に丸投げしている点。これはどうかなぁと思う。