キチェ語を学ぶことの難しさ

昨日の記事の補足。

前述の通りキチェ語は各地域で大分語彙が異なる。

その理由としては各地域がそれぞれ異なる山岳部に位置していることから行き交いが頻繁で無かったことが理由の一つかなと個人的には考えている。歴史を辿っていけばreducción de pueblosといった悲しく且つ複雑な理由もあるけど。また,他地域と交易をする必要もそれ程無かったのかもしれない。基本,自給自足だし。

例えばカンテル市に地方からの移民の流入が始まったのは1900年代初頭で,それも大きな繊維工場が出来たことが理由。その点ではカンテル市は特別といえる。

で,地域差がキチェ語の学習意欲を失わされる理由の一つ。特にノン・ネイティブ,つまり外国人を含む非先住民の場合,他地域で通じるキチェ語が通じない場合どうしても「あなたは先住民ではないから」と言われて学習を断念するというケースが多い。言う方にしても悪気は無いけど,どうしてもそういう心理的隔たりはある。また,キチェ語を話す人々の多くが地域間の違いについて認識していないケースが多いことも問題を深刻なものとしている。

具体例としてはパイナップルが挙げられる。ナワラ市ではch’opというらしいけど,カンテルではmatzati’。ただ,この単語も40代後半以上の世代は知っていても若い世代はスペイン語のpiñaしか知らないことも多い。また,キチェ族の大半はキチェ語のアルファベットでの書き方を学んだ経験がないため,大半のネイティブからキチェ語を学ぶには学習者にもある程度のレベルが求められる。学習環境は整っているとは言えない状態だけど,これがグアテマラで最大の話者数を誇るキチェ語での話だ。まぁ,その他の言語では地域間の差異を気にしなくて良い言語があったり良し悪しはあるけど。

まぁ,色々と困難を伴うキチェ語学習だけどグアテマラ西部地方の先住民文化を本当に理解しようとしたらその地域の言語の習得は必須かなと思う。

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